英語の音声に関する雑記帳

英語の発音について徒然と


CorPho 2008: Summer School on Corpus Phonology (コーパス音韻論夏季講座)第1日目

ドイツのアウグスブルクで行われている Summer School on Corpus Phonology に参加しています。主催は European Corpus Phonology Group (CorPho)(ヨーロッパコーパス音韻論グループ)。2年前に設立され、今回が初めての夏季講座です。

参加者数はまだ正式発表されていませんが、約30名とのこと。アナウンスでは定員が35名で、履歴書と研究計画書に基づいて選抜されました。僕は最初は断られたのですが、その後キャンセルが出たということで、参加できることになりました。しかも、ありがたいことい、旅費も主催者側の負担です。他にも旅費が出た人、滞在費まで出た人などが何人もいて、フォルクスワーゲン社からの補助金が出ているということで、ヨーロッパ以外の研究者を戦略的に参加させたという面がありそうです。そもそも、受講料さえないのです。いかにプロモーション的要素が強いのかが窺われます。
今日行われた内容を紹介します:
9:30~10:30 歓迎の言葉、参加者の自己紹介
11:00~12:30 Keynote talk 1: Corpus phonology and language documentation (Bruce Birch, University of Melbourne)
14:00~15:30 Corpus development (Ulrike Gut, Universität Augsburg)
16:00~17:30  Recording tools and techniques: audio/video (Bruce Birch, Ulrike Gut and Wolfgang Link)

16時からのセッションは、参加者のうち2人が map task (地図の上での道筋を言葉で伝える、という作業により自然な言語を引き出す手法)を行っているところを、様々な録音・録画機器で同時に記録し、結果の録音状態を聞き比べるという実習でした。メモリーレコーダーの内部マイクと外付けマイク、ワイヤレスマイクで飛ばして録音などです。ワイヤレスマイクは如何なものかと先入観があったのですが、これも案外悪くない感じです。
僕がこれに参加しようと考えたのは、日本語話者の英語発音に関して、経験則的なことは色々言われているけれども、包括的・客観的・数量的に調べた研究は見あたらないので、それを行うべきだという問題意識を持っているからです。幸い、英語学習者の発音に関しては、収集された目的こそ違っているものの、読み上げ生音声のデータベースが存在しているので、これをコーパス化することから始めたいと思っています。予備的研究は去年以来行っていて、学会発表もしていますが、これは手作業での転写を、およそ電子化したとは言えない状態で利用したもので、コーパス作成のノウハウについてはどうやって学ぼうか、独学するしかないのだろうか…と思っていたため、この夏季講習は正に渡りに船だったというわけです。

今日の内容は小手調べ程度。明日は、ELANPraatPhon といった annotation ツールの実習が中心になるので、僕の目的にとっては非常に重要な日になります。結果についてはまた報告するつもりです。



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