英語の音声に関する雑記帳

英語の発音について徒然と


プロバンスで発表へ(追記:病気で取り下げました。)

アイオワへの応募が採択されず落胆していたのですが、捨てる神あれば拾う神あり。Aix-en-Provence で行われる “PAC Workshop 2009: Models, Variation & Phonological Corpora” の方は採択されました。オーラル発表16件、ポスター発表9件なのですが、ポスターの方に滑り込むことができました。発表タイトルは “Revising the list of weak forms in English using a spoken corpus.” で、Buckeye Corpus を利用した記述的研究です。 (ポスターには、ワークショップのテーマからやや外れるが水準が高いものが選ばれたとか。頑張らなければ!)

因みに、25件のうち、フランス以外からの発表者は、ノルウェー1人、イギリス2人、オランダ2人、ドイツ1人、ポーランド1人、日本は僕1人です。ひょっとすると、僕はアジアからの唯一の参加者かも知れません。そうすると、去年のポーランドでの Accents 2008 と似た雰囲気でしょうか。ただ、基本的にいわゆる inner circle の英語が対象なので、non-native English についての発表が大部分だった Accents 2008 とは違って、お互いの発表は理解しやすいでしょう。僕のも、あくまでアメリカ発音に関する研究ですから、日本語の発音から説明する必要はありません。そもそも、ワークショップの趣旨がそういうものだったから僕もこういう内容の応募にしたわけです。

PAC というのは “La Phonologie de l’Anglais Contemporain: usages, variétés et structure” の略です。英語に直すと “The Phonology of Contemporary English: usage, varieties and structure”、日本語では「現代英語の音韻論:使用・変異・構造」とでも言えばいいのでしょうか。僕にとっては結構馴染みのある人が関わっているプロジェクトで、昔友人と音韻論の本を読んだ Jacques Durand と、大学の大先輩である清水あつ子先生が English Phonetics and Phonology (Blackwell, 1999)を翻訳(『英語音声学・音韻論入門』研究社、2002年)した Philip Carr がリーダーです。

場所がプロバンスなので、プロバンス大学に所属の Daniel Hirst に会えるかも知れないというのも、僕にとって期待が膨らむところです。Hirst は INTSINT (International Transcription System for Intonation) を作った人で、これはイントネーションの「音声表記」を謳っている上に、既に音声ファイルを自動ラベリングするツール(momel-intsint)まで出来ているので、プロソディーにどんな表記を使ったらいいのかが大問題である僕の English Read by Japanese 音声データペースを使った日本語話者英語音声コーパス構築にとって、1つの解決策を与えてくれるに違いないんですよね。

いずれにせよ、これでフランスに行くことは確定です。折角だから世界一周チケットを使ってアイオワの会議にも行って更にはカンザスにも寄ってきたいところですが、そうするとほとんど2週間家を空けることになってしまうのが、まだ新婚の身としては辛いところ。迷います。



“プロバンスで発表へ(追記:病気で取り下げました。)”. への1件のコメント

  1. 報告が遅れましたが、残念ながら、出発の2日前の9月7日にぎっくり腰を起こしてしまったため、重い荷物を持っての海外渡航は無理と判断し、発表を取り下げて出張も中止しました。とても残念です。せっかく準備した研究内容は、他で発表できる道を探ろうと思っています。

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