今年になってから、ほぼ毎日Podcastで英語を聞くようになりました。家事(皿洗い、洗濯など、手が使えない状況)やウォーキングをしながら、肩掛けスピーカーで聞いています。よく聞くのは BBC World, Wired, The Intelligence from The Economist, The Daily (NYT), The Journal (WSJ), NPR の各種番組(Consider This, Short Wave, Life Kit), Science Quickly (Scientific American) などです。
聞いていると、発音について色々なことに気がつきます。イギリス英語の /uː/ が、Lindsey の言う /ʉw/ どころか、ほとんど前寄りの [yː] になり、who が hue に近く聞こえることもその一つです(語頭の摩擦音の強さが違うので聞き違えることはありません)。
この記事で扱う acknowledge は、一瞬、反対の意味の ignore を言い始めたかのように聞こえるところが面白いです。
まず、acknowledge の発音は英和辞書では /əkˈnɑlɪdʒ, ɪk-, æk-/ のように記載されています。Merriam-Webster では /ɪkˈnɑlɪdʒ, æk-/ で、最初の母音として /ə/ が挙がっていません。これは、/k, ɡ/ の前では /ə/ の代わりに /ɪ/ が現れやすいという、「異化」の一種とされる現象です。実際、僕が聞いている範囲でも、最初の母音は /ɪ/ が多いという印象があります。
しかしそれだけでは acknowledge が ignore のように聞こえることはありません。僕がもう一つこの単語で気がついているのは、/k/ が /ɡ/ として発音され、結果的にこの単語が /ɪɡˈnɑlɪdʒ/ になっていることです。ignore はアメリカ発音で /ɪɡˈnɔɚ/ ですから、出だしが /ɪɡn/ で揃っているわけです。これが出だしで一瞬、acknowledge が ignore に聞こえる理由です。
/k/ が /ɡ/ に変わるのは、その次が /n/ のため、声の逆行同化が起きているのが理由と考えられます。あるいは、弱アクセントと強アクセントに挟まれた子音が有声になりやすいという現象に属するのかもしれません。luxury が /ˈlʌkʃəri/ なのに対して luxurious が /lʌɡˈʒʊriəs/ になっているのと同様のことです。そのため、同じ /-kn-/ でも、後が弱強勢の picnic では恐らく/k/ が /ɡ/ に変わるようなことは起こっていないでしょう。本当にないのかはきちんと調べないと分かりませんが、僕は少なくとも聞いた記憶はありません。
僕の知る限り、acknowledge の発音として /ɪɡˈnɑlɪdʒ/ を記載している辞書はありませんが、かなり普通に起こっていることのように思われます。ただ、母音間の /-kn-/ で、後の音節に強アクセントという単語は、英語では事実上、acknowledge とその派生語しかないようなので、非常に個別的な話ではあります。しかし音声現象自体は、少なくとも英語の中では多少なりとも一般性を備えたものです。
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