以前、acknowledge の出だしが ignore の出だしと同じ発音([ɪg]knowledge)になっているという記事を書いた。この /k/ → [g] という現象は、前がアクセントのない母音、後がアクセントのある母音という条件下の /-kn-/ で起こるが、この音声環境は事実上 acknowledge とその派生語にしかないと書いていた。
しかし、この音声環境を含むとてもメジャーな単語があることを忘れていた。それは technology である。関連する technician, technique も同様の音声環境を持つ。
今や発音の実例を探すのに最も便利なのは YouGlish だが、リンクを貼ることができるのは検索画面であり、毎回表示されるものが変わるため、ここでは Podcast から2例を引用する。いずれも、technology の /k/ が [g] になっている例である。
The Atlas Obscura Podcast Presents: The Detour
Geology is connected to every aspect of our life. Conservation, biodiversity, food, engineering, technology.
When AI is your job interviewer (The Indicator from Planet Money, NPR)
By the way, David says there are dozens of competitor companies developing technology like Anna. So maybe sooner than we think, robots will be interviewing us for jobs.
YouGlish で聞く限り、technology が te[g]nology になっている例は少ない。きちんと数えたわけではないが、恐らく1割に満たない程度だろう。
これに対し、acknowledge は8割方 [ɪg]knowledge になっているという印象がある。
そして technician, technique については technology よりは多そうで、特に technician は3分の1ほどが te[g]nician になっているように感じられる。
technique は、アクセント型が techˈnique でなく ˈtechˌnique になっている例(恐らく強勢衝突によるもの)がかなりあり、それだと /k/ → [g] になる条件を満たさないため、そのようなものは te[g]nique にはなっていない。条件を満たしているものの中では、恐らく technician と同じくらいの割合で /k/ → [g] が起きているように見えるが、全体としては technology の場合と同じくらいだろう。
辞書の発音表記という観点からすると、acknowledge は第一候補として /ɪɡˈnɑlɪdʒ/ (米音の場合)を挙げる必要があると思う(equation の第一候補を /ɪˈkweɪʒən/ とするのと同様の扱いである)。第二候補は恐らく /ək-/ が妥当だろう。
technician は [g] を含む発音を第二候補として /tekˈnɪʃən, teg-/ としたい。technology と technique に関しては辞書の詳しさにより第二候補として /teg-/ を入れるかどうかの判断が変わってくると思われる。
僕の場合、このような現象に気がつくのは、日常的に聞いている Podcast である。この記事も、上記の Podcast で technology の発音に気がついたことがきっかけになっている。YouGlish は、既に気がついている現象がどれくらい多いのかを簡易的に調べるのに使う。
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