英語の音声に関する雑記帳

Scribbles on English phonetics

Mythos (AI) の表記

アメリカのAnthropic社が開発した、危険なほど高性能なAIである Mythos。これを日本では「ミュトス」と呼んでいます。大元はギリシャ語由来の言葉だからギリシャ語に合わせたのでしょう。

しかし、アメリカの会社が作ったAIということは、この名前は英語発です。語源がギリシャ語だとはいえ、あくまでも英語なので、日本語に取り入れる場合にも、英語の発音に依拠した方がいいのではないでしょうか。

英語での Mythos の発音は /ˈmiːˌθoʊs/ なので、これに基づいた転写をすると「ミーソウス」、それが長すぎるなら「ミソス」になります。

こんなことを書いても、今さら日本での表記が変わることはないと思いますが、どうせなら英語由来の形(「ミソス」)が流通した方が、英語でこれを話題にする時に便利だったでしょうね。とはいえ変化の速い業界なので、Mythos という製品名がいつまで使われ続けるのかも分からないわけですが。

似たような例として Google の Gemini があります。日本でカナ表記する時は「ジェミニ」と書かれています。Gemini は元々ラテン語のようですが、これもアメリカ発のAIなので英語と考えるのが妥当です。そしてこの単語の英語での優勢な発音は /ˈdʒemɪˌnaɪ/ です。これを使うと「ジェミナイ」になります。

ただ、/ˈdʒemɪˌniː/ という発音も存在するので、「ジェミニ」にしたからといって、英語に依拠していないとは言えないのが Mythos とは違いますね。

なお、mythos は「特定の集団や社会を特徴づける信仰や価値観」を意味する社会学用語として「ミュトス」ないし「ミトス」と書かれているようです。これは「ロゴス(logos)」「エトス(ethos)」「エロス(eros)」などがギリシャ語を元にしているのと同類なのでしょう。(pathos のように、「悲哀」の意味の日常語では英語式の「ペーソス」、哲学用語ではギリシャ語式の「パトス」と分かれている言葉もあります。)

AIの Mythos が「ミュトス」と表記されることになったのは、社会学用語の表記が根拠だったのかもしれないですね。

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