英語の音声に関する雑記帳

英語の発音について徒然と


『マイウェイ総合英語』(三省堂)の第二部第一章「リスニング」

これは高校生用の学習参考書ですが、リスニングの章は僕が執筆しました。といっても、その内容の3分の2は発音解説と練習です。

https://tb.sanseido-publ.co.jp/gakusan/g-h-school/g-hs-english/hs-en-synthesis-english/mw_sougou_pr/

これは今から2年前の2022年に刊行されたものです。それを今頃になって紹介しているのは、これを学校専売品であると勘違いしていたからでした。先日書店で見かけて驚いて調べたら、学校専売なのは補助教材だけだったことが分かりました。一般の人が買えないものを紹介しても仕方がないと思っていたのですが、買えるのなら、それを遠慮する理由はありません。

発音の部分の内容は次の通りです。

1 英語の子音

2 単語の終わりの子音

3 子音連続

4 英語の母音

5 単語のアクセント型

6 注意すべき単語の発音

7 単語の変化形の発音

8 文の発音

 強い単語と弱い単語

 単語と単語のつなげ方

 イントネーション

9 発音のまとめ(パッセージ音読)

単語の変化形(過去形、三単現、ing形)や単語間のつながり、アクセントとイントネーションを重く扱いました。変化形の発音は、実際の文ではよく出てくるにもかかわらず、それを聞いたり練習したりする材料が不足していると考えたからです。自分で言うのも何ですが、もしかしたら僕自身の2冊の著書よりもむしろ的確かなと思える部分もあります。

リスニングについては僕の見識が限られているのですが、頑張って書きました。次のような内容です。

1 強い単語の聞き取り

2 弱い単語の聞き取り

3 アメリカ英語以外の発音

「強い単語の聞き取り」では、これを聞き取れれば大意は分かるというデモンストレーションを、「弱い単語の聞き取り」は、弱形が同じになったり似てしまったりする機能語が、前後関係から復元できるのだ、という話を書いています。

それから「アメリカ英語以外の発音」では、聞き取りでは色々な発音に対応できなければならないという話を書いています。といっても、具体的に紹介しているのはイギリス発音だけですが。

学参の中で、これほどきっちり発音を扱っているものは他には無いと思います。基本的には文法書なので、発音を目当てに買ってくださいとは言いにくいのですが、書店で中身を見て気に入ったら是非、というところです。

なお音声は三省堂のスマートフォン向けアプリことまなSで無料で使えます。発音に関しては、アメリカ人2名とイギリス人1名の発音が用意されています。個人による違いはある程度説明しましたが、完全に網羅されている訳ではないので、そこはご了承ください。



“『マイウェイ総合英語』(三省堂)の第二部第一章「リスニング」”. への1件のコメント

  1. さっそく本書を入手して,リスニングの章,拝読いたしました.音声の方はまだ聞けていないのですが,充実の内容ですね.素晴らしいです.予備校講師の書いた,雑な内容のリスニング対策本や,「カタカナで通じる」を売りにした会話本などが世に溢れていますが,どれもいい加減な記述が多いので,本書の出現によって,この手の悪書が駆逐されることを切に願っています.

    紙面の都合や読みやすさとの兼ね合いもあるので,今の解説の分量だと高校生が文字だけで内容を追うのが少し辛い感じもしますが,音声が利用できるので大丈夫でしょう.私自身が高校生の頃にこういう教材が欲しかったです.

    ただ,p.220の「注意すべき単語の発音」の中に,year,yeast,yes, yet, wolf, woman, wood,woolなどの/jɪ/, /je/,/wʊ/で始まる単語で,語頭の子音が,ほとんどの日本人には発音できていない旨の注意書きがあると良かったのにと感じました.

    文法の方にも少し目を通しましたが,「仮定法」の「事実と異なることや,可能性がとても低いことを表す」という説明では,反実仮想の仮定法過去・過去完了に話を絞るならまだしも,「仮定法現在」まで出して,近代英語のIf if be fine tomorrow, ~や現代英語のif need be, ~などの仮定法現在の説明がつかなくなっているのが,いかにも予備校講師らしい記述で,仮定法現在の動詞を原形不定詞と称していることも含め,これが原因で本書を手にする読者が減らないか少々心配ですが杞憂でしょうか.

    いいね

コメントを残す